バタバタと家を飛び出る。
私は、おにぎりを手に学校まで
走っている。
なおちゃんは、私より20分も早く起きていて
余裕で支度を終わらせていたのに
私と家を出るタイミングを合わせる為に
学校まで全力疾走するはめになっている。
はぁはぁと息を切らしながら、
なおに謝罪する。
優しいんだから……。
なおちゃんのこういうところ大好き。
そんな事を思いながらも、
走っていると前に見覚えのある人が
私達と同じように走っていた。
声に気付いたその人は
速度を落としながらこちらを振り返る。
軽く会話を交わした後は、
3人とも遅刻しないように、無言で走った。
学校の近くになると人がちらほら
見え始めたのでようやく
スピードを落として歩き出す。
おっと、言い忘れてた!
あの後たくやと私は付き合う事に
なりました。
たくやとは家族公認の仲になってて
よく夕御飯を食べに私の家へ来る。
家族公認って、いっても
お父さんが許してるかどうかは
微妙なところだけどねっ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。