虎愛が掃除に当たって、帰りは一人だった。
いつものように駅に行き、電車に乗る。
ダチと約束はしてねぇ。でも暇つぶしに、何かで遊びたかった。
いつも降りるふたつ前で降り、虎愛とよく行くゲーセンに向かった。
この近くに女子高があるのは知ってたが、なぜか今日は多い。普通のからやばそうなのまでいる。
オレはそいつらを避けながら、奥へ向かった。
2、3台ある中の、真ん中のやつに入った。
バッグは後ろの台に置き、カネを入れる。銃を持って、ゲームを始めた。
大きな画面の中央に、『Time’s up.』と映され、手の銃を置いた。
バッグを持ち、外へ出て伸びをする。
向こうから女たちの黄色い声が聞こえて、思わず耳を塞いだ。女らは、プリクラ撮って騒いでた。
距離があるのに、なんで女の声はよく通るんだか。目障り。耳が痛い。
オレは女が嫌いだ。つか、昔から苦手だ。
人によって色変えやがる。隠すことしかできねぇ雑魚ども。
一度舌打ちした後、早足でその場を離れた。
自分にしか聞こえない声で言い、オレはゲーセンを出た。
前線を通過した時は、こんな気持ちなんだろうか。一歩進んだだけで、全く暑さがちげぇ。
真っ青な空を見あげるも、眩しすぎて手をかざす。その自分の手さえ、透けてしまいそうだった。
涼しい風に当たるため、家とは反対方向の道へ進んだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!