ローテーブルに頭を乗せて長く重苦しい息を吐き出す。しかし、航はそんなオレを見ようともせずに「確かになー」と言った。
スマホいじってんじゃねぇよくそ……。いいよな彼女持ちは余裕で。
航はスマホから顔を上げて、へらりと気の抜けたような笑顔で悪びれもなく言った。
……こいつ、今言ったこと一言も聞いてやがらなかった……!!
ドン!と効果音がつきそうな感じで言い切ると、航がブフォッと吹き出した。
笑うとこだったか……?
お前から誘ったくせに何引いてんだよ!!結構傷ついたぞ!!
スマホで何やら打ちながら航が言った。
……ちょっとは否定してくれよ。事実だからできねーことはわかってるけど、あっさりしすぎだろ。
顔全体をテーブルにつけてため息をつく。
すると、航の朗らかな声が聞こえた。
航が笑う気配を感じ、オレは少し救われた気持ちになった。
そしてクリスマス。事件は、起こる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。