『お前みたいなクズはこのクラスにはいらねーんだよ』
『お前が死んだらみんな幸せなんだよ!』
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この学校に入学してから僅か1ヶ月、あたしはいじめられるようになった。
日に日にひどくなっていくいじめに、もう耐え切れない、毎日そう感じていた。
担任も副担任もあたしがいじめにあっていることは知っているだろう。
先生の目の前で蹴られたこともあった。
トイレに閉じ込められて授業に遅れたときはみんなのまえで怒られた。
寒い冬の日の朝、教室に入る前に水をかけられた。
筆箱は壊された。ペンは窓から投げられた。教科書は落書きをたくさんされて最後は破かれて捨てられた。
それでもあたしは泣かなかった。
唯一味方でいてくれた子もいじめられ不登校になり、味方が誰一人いなくなっても、泣かなかった。
家で、部活で、笑い続けた。
うるさいほどに楽しそうにしゃべった。
もうそれも限界に近い。
自分が今生きていることが、辛くてしょうがない。
ある日インターネットで自傷行為について調べた。
その次の日、あたしは手首を切り、大量に薬を飲んだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!