4人が帰ると急に静かになって、少し寂しい。
ちょっとだけ、ため息が出た。
別に無理してるわけじゃない。
よくよく考えてみると、この身体になってからすごいことがたくさん起きてるし、今まで何となく過ごしてた日々とは真逆で…。
毎日、壁をすり抜けて。
毎日、YouTuberと話して。
毎日、ドキドキさせられて。
よく聞くと、身体が悲鳴を上げている。
なんか私。
疲れてんのかな…?
まぶたが重いや。
そっとまぶたが、落ちていく。
目を開けると、真っ白な空間に私は1人立っていた。
悲しい。
寂しい。
苦しい。
そう言った感情が一気に込み上げてくる。
さっきまで、あんなに楽しかったのに。
どうして?
私が、幽霊じゃなかったら。
フツーに恋愛もできたし、
フツーに遊べたし、
フツーに過ごせたのに。
なんで私なの?
なんで私が、引かれないといけなかったの?
なんで私が死なないといけなかったの?
なんで私を殺したの?
なんで?
どうして?
痛い。
苦しい。苦しい。
辛い。辛い。辛い。
急にあの日のことと疑問が飛び出してきた。
だってまだ鮮明に思い出せる。
怖い。
怖い。怖い。
怖い。怖い。怖い。
夢なら早く覚めて。
そう強く願うも夢が覚めることはなさそう。
あぁ、はじめの空耳まで聞こえてきた…
シルクの声まで…
謎の白い空間にこだまする。
どうしよう???
焦っちゃって、ンダホは…
もう。
心配…いらないのに。
うっ。また心が苦しい。
痛いよ。
はじめ、シルク、ンダホ…
助け
て。
はっ。
目を開けると、見慣れた天井。
視線を右に動かすと心配そうなはじめの顔。
視線を左に動かすと、驚いた顔のシルクとンダホ。
ンダホは…泣いてる?!
だから、はじめたちが私を家まで運んでくれたのか…。
そして3人は、部屋を出て行ってしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!