第4話

月曜日の公園
3,497
2017/12/30 05:49
どれくらい歩いたかな。
さっきまでのオレンジ色の空は
どこかに消え、辺りは暗くなり
人通りも少なくなってきた。
気の向くままに歩いてきたから、
ここがどこだかさっぱり分からない。
でも、これでいいんだね。
できるだけ、できるだけ、
遠くにきたったから。
見慣れているいつもの街を見ていると、
思い出が蘇ってきて、余計辛い。
だからいいのだ。
そう強く自分に言い聞かせた。
でも、1人になれば悲しみは消えるかなって
思っていたけど、悲しいが消えるどころか、どんどん悲しくなるだけで、心がギュッと
締め付けられたような感じがする。
なんとなく、生きてる時を
思い出しちゃうから、足を止めた。
たまたま、近くにあった公園に入り、
木のベンチに腰掛ける。
そして、虚ろな目で公園を見回した。
どこにでもあるような公園だ。
懐かしいな。
昔はよく、友達と公園へ行って、
色々な遊びをしたな。
気づいたら、また泣いていた。
時間が経てば、現実を受け止められるって
思った私がバカだったな。
だって、こんなにも辛いもん。
これが、悪夢だと信じたい。
自分が、死んだなんて信じられない。
信じたくなかった。
ふいに静かだった公園に明るい声が響いた。
声の主は、すぐにわかった。
私の近くの電灯の下にいる20代くらいの
男性。
片手にはスマホ。
そして、その男性にカメラを向ける男性。
その人も、20代くらい。
スマホを持ってる男性は、カメラに向かって話しかけた。
???
どうも、みなさんこんばんは、
はじめんです。
???
カメラのマサキでーす。
2人の男性は、小声で自己紹介をしている。
???
今、霊がよく見られるという
公園にやってきていまーす。
???
めっちゃ静かな公園…。
不気味〜
???
では、早速このアプリの幽霊探知機を使って辺りを散策していきたいと思います!
では行こう!
???
???
はい!一旦カットね。
???
おけーぃ。
???
まじで、この公園怖いわ〜
???
そお?
そんな会話を、私は静かに聞いていた。
???
アプリ起動しました?
はい、カメラ回すよ〜?
???
皆さん見てください!アプリを起動したばっかりなのに、もう強い反応があるぅぅぅ。あそこの、木のベンチの方かな…。
スマホを持った男性は、
私の方へ近づいてくる
もしかしてあのアプリ、
私反応してるのかな…?!
???
ヤバイでしょ?!
めっちゃ、反応強いんだけど…。どうしよう、マサキ〜。
???
とりあえず、行こ 笑
???
うん〜
2人は、どんどん近づいていく。

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