男性が、スマホを触るとお経がなった。
はぁ。ホンモノの幽霊が、いるのに私に効いてないってことは、そのアプリは偽物だね。
すると1人の男性が、私の隣に座った。
その瞬間、男性が私の肩を触った。
今まで、
人間のことも、
壁も、
全部すり抜けられたのに。
なんで、触れるの?
そう言って、男性はベンチから遠ざかった。
ふざけたようにそう聞く男性。
男性は目をなんどもこすりながら聞く。
私の…こと?
えっ?もしかして、私が見えてるの?
2人は、同時にカメラを覗いた。
2人は、とても焦っているようにも見えて、
どこか楽しそうにも見えた。
男性は、私の周りをウロウロする。
思い切って話しかけてみようかな?
驚きの声をあげて、尻餅をつく男性。
男性は、爽やかな笑顔を私に向けた。
幽霊に話しかけられてるのに、
この人ただ者じゃない。
そう言って、男性は
まじまじと私の顔を見る。
カメラの男性は、
どこかへいなくなってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!