第9話

火曜日の思い出
2,646
2017/12/19 09:36
帰宅するとそこには、
また散らかった部屋が目に入ってくる。
転がっていた時計の針は、
7:06をさしていた。
この時間だったら、
“生きてた頃の”
私はダッシュで学校の支度をしてたなぁ。
ふと、そんなことを思い出す。
生きていた頃のことを思い出す度に、
胸がズキズキ痛む。
死んだ心地がしない。
すると、何処かへ行っていた
はじめが部屋に入ってきた。
手には、カメラ器具のようなもの。
そして、またはじめは部屋を出て行き、
次に照明を持ってきた。
何をするんだろう?
そういえば、
はじめってなんの仕事してるのかな?
今の時間帯なら外に働きに行ってる人たちは、みんな準備で忙しい時のはずなのに、
はじめはのほほんという感じで作業をしている。
あまりに気になった私は、
あなた

はじめ?何をしてるの?

と明るい声で聞いた。
はじめ
動画撮影の準備!準備!
はじめは忙しそうに手を動かしながら、
そう答えた。
あなた

ドウガサツエイ?

そういえば、出会った時もマサキさんに手伝ってもらいながら動画撮ってたな…。
と思い出す。
あなた

“モデル”とか
“俳優”とかそういうお仕事なの?

はじめは、
目を丸くしてバッとこちらに振り向いた。
はじめ
んなわけあるかい〜。
そう言って、はじめは顔を少し赤く
しながら恥ずかしそうにした。
はじめ
おっおいらが、
モデルなんてできっこないし…
はじめは少し照れたように言った。
あなた

だって、はじめは背も高いし、
スタイル抜群だし、
笑顔がステキだし、
何てったってカッコいいし…。

ん_?!
私少し、でしゃばり過ぎたっ…
はじめ
それは、褒めすぎ。
はじめは、私の頭をポンポンと叩いた。
はじめ
あなた、おいらの仕事知りたい?
首をかしげて、はじめがそう聞いて来た。
あなた

うん!

はじめ
よしっ!
じゃー、コッチにおいで〜!
私とはじめは、
パソコンがある部屋へと移動した。
様々な機材がたくさん並んでいる。
マイクにカメラ。
大きなパソコン。
そして、はじめはパソコンを起動さ
せ“YouTube”をひらいた。
手際よく操作して、ある動画を再生した。
画面のそこには、
ニコッとしたきらびやかな笑顔でいる…
“はじめ”
はじめ…?
はじめ…?!
はじめがいるよ?!

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