じんたん目線
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4段目には…媚薬が入っていた。
意外と初めて見るものだった。
テオくんに
──彼女でも居るのだろうか…?
何故か胸が締め付けられるように
キリキリと傷んだ。
なんだろうこの気持ちは。
っ!?
何言ってんだ俺……?
だが俺は戻さずに
手に取った媚薬を見つめた。
『ちょっと気になるかも…』
俺は好奇心で媚薬を自分のポケットの中に
入れようとした…
すぐ後にテオくんが居た。
完全に油断しきっていた。
やばい、言い逃れができない……。
気まずい空気が流れる。
テオくん…さすがに怒ってるよな……。
小声で言って
足早で部屋から出た。
テオくんの顔をまともに見ることができなかった。
媚薬…なんで持ってたんだろう。
テオくんに彼女がいるなんて聞いてない。
なにかあったらテオくんはすぐ俺に言ってくれ…
あ、そうか。
俺はテオくんにとって
『なんでも無い』んだ。
苦しい。
何故か胸がとてつもなく苦しい。
テオくんは…
俺に散々
”勘違いしてしまう”
ような事してきといて
実際は………ただの友達。
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その日はテオくんとまともな会話はせず、
ただ部屋で編集をして
腹が減ったらカップラーメンを食べる。
昨日と一昨日とで全然違かった。
「俺、このままテオくんに嫌われてくのかな。」
こんなこと考えたらダメだ……。
どんどん悪い方に引きずってしまう。
お泊まりは今日まで。
明日の昼頃には
お互いの家に帰らなければいけない。
俺はその時
不意にポケットの中を探っていた。
(あ………)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。