第9話

◻️❾◻️
422
2017/12/11 09:54
『ジングルベル』がきこえる。



とても心地よい音色。



ときどき音が飛んだり外れたりする。



それすらも心地よく耳を震わせてくれる。



耳をすませば、サトシくんの息づかいも聞こえてきそうだった。



穏やかな時間ーー



あぁ、いつまでもこうやって話していたい。


純粋にそうおもった。


それとともに、これまでしてきた冷たい自分に苛立ちが一層わいてきた。


もっとわたしに勇気があったらーー



サトシくんを助けてあげられたのに。



ぎゅうっと唇を噛んだ。

サトシくん
そ、そんな顔しないで
あなた

サトシくん
悲しそう
あなた

っ……だって、わたし……サトシくんが辛い思いしてるの知っててなにも

サトシくん
…………
あなた

知ってて……なにもしなかった



ポタリ、と落ちた。


それはわたしの涙。



サトシくん
気にしないで
あなた

ごめん。……わたし、ひどいやつだよ。やめて、って言ってあげたらよかった。先生に言えばよかった。できることはたくさんあったのに、わたし……ぅ、……ひく

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