第10話

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2017/12/11 13:11
サトシくん
いいんだよ。よ、弱いぼくが悪いんだ
あなた

違う……悪くない



今さらこんなことを言っても遅いのに、ただ自分を正当化しているみたいで嫌なのに、それでも込み上げる気持ちを抑えきれなかった。

あなた

ごめん……ごめんね



ただ謝るしかできなかった。

あなた

わた、し……ヒック

しゃっくりが単発的に出てしまってうまく話せない。


すこしはなれたところに座っていたサトシくんが立ち上がった。


それから、ハンカチを取り出すと涙を拭ってくれた。


柔らかい感触がくすぐったかった。

サトシくん
なにも悪くない。そ、それにぼくは平気。……だから、泣かないで。星野さんが泣いてるのを見ると、む、胸が締め付けられるんだ

震えるような声でそう呟いたサトシくん。


最後に、また会えたらいいな、と笑いかけてくれた。


どもらずに、そう彼は言った。


わたしもコクコクと首を縦に振った。




そして、一週間後の今日、サトシくんは転校していった。




大好きなサトシくん。



転校する最後の日に、クリスマスツリーに飾るとても綺麗なガラスボールをくれた。


あなた

ありがとう



そう言ってさよならをした。



心の優しいサトシくん。



そんな彼がわたしはーー


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