ヴーッ、ヴーッ……
今日の朝は誰かからのモーニングコールで始まった。まあだいたい誰か予想はできるけど。
「もしもしー。ふぁーっ。」
私は目を擦りながら、そう答えた。
「わっ!ハルー!おはよう!ごめん、寝てた?」
「うん。どうしたの?」
「いや、特に用はないけど。今日は楽しみにしてるよー!」
「うんー。10時にいつもの公園でよかったっけ?」
「そうそう。じゃあ楽しみにしてるからね!」
「うーん。ばいばーい。」
「はーい。」
特に何も用はないんだろうなって思ってはいたけど―。どれだけ楽しみにしてるんだろう。そう思いながらも重い体を起こしながら、顔を洗いに1階に降りた。そして、朝食を軽く取って、服に着替えた。鏡を見ながらおかしい所がないか確認したり、メイクをしたり、髪を結ったりしていよいよ9時半になったから玄関に出た。
「行ってきます。」
今日はお母さんが仕事が休みだったからお母さんにそう言って外に出た。
「寒っ!」
クリスマス前とあって、寒かった。マフラーと手袋つけてて良かったなと思った。倖叶くんはもう着いてるかな?
そんなことを考えているうちに、約束の公園に着いた。スマホの時計を見ると、9時45分だった。まあ元からこの時間につくつもりで家を出たし、ちょうど良かったな。すると―。
「ハルーっ!」
倖叶くんの声だ。どこだろう?。周りを探してみても、倖叶くんは見当たらない。
「ハルーっ!ここだよー?上を見て。」
上を見ると、倖叶くんは木の上に座っていた。
「ちょっ!倖叶くん!?下りてきてよ。早くいこうよ!?」
「わっ!ハルが心配してくれてるー。楽しみだったー?」
「ちっ…ちがっ…。そんなことはいいから!早く!」
話を逸らして、倖叶くんに下りるように促すと倖叶くんは木の上からジャンプして、すぐに私の隣に並んだ。
「じゃあ行こう!ハル。」
「うん!」
公園から駅までは歩いて20分くらい。今日行こうと思ってるのは駅の近くだから、別にバスはいらないか。
「倖叶くん、20分くらいだけど、歩いていく?バスでもいいけど。」
「ううん。歩こう!」
「うん。」と言って、私たちは歩き始めた。手袋をしていても、やっぱり指先は寒くて手を口元に近づけて、「はぁーっ。」と息を吐いた。
「ハル、寒い?」
倖叶くんは心配そうな顔をして、私の顔を覗き込んだ。
「ううん、大丈夫。」
ほんとに寒くないように装って答えた。すると、
「はいっ、ハル。」
と、倖叶くんは手を差し出した。でも、恥ずかしいのもあって、私は「いいよ。大丈夫だから。」と答えた。すると、
「ううん!僕が繋ぎたいの。」
「んっ。」
結局、倖叶くんから手を繋いだ。倖叶くんの手はものすごく暖かくて、体感温度がちがうのか、とか考えていた。
「あれ?ハル?」
#6 初デート END
―あまてんから一言―
いいですねぇ。手を繋ぐ……。はあ、、、、、寒い。ちなみにあたしの彼氏はホッカイロです。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。