ヒピピピッ
朝を知らせるケータイのアラーム音が鳴り響いた。
まだ正常に動いていない脳を一生懸命動かして起きる。
朝食をすませて、学校に行く支度を始める。
いつもよりワクワクする理由は、今日から高校生になるからだろう。
クローゼットにかかっている新しい制服に手をかける。うん、可愛い制服を選んで正解だった。
私が受験した学校は制服が可愛くて受験者が多く、
倍率がかなり高い高校で、私はその制服が着たくて
中学生活をかけて勉強した。
おかけで恋愛経験はなしである。
まぁ、これからの高校生活で青春してやると
心に決め、新しいバックを背負いいざ学校へと
進んだ。
*******
電車で乗って学校に行くのだが、朝なのでとてつもなく混んでいる。
ガタンガタンと揺れる電車で必死に吊革にしがみついていた。
すると・・・
予感は的中、なんと私は痴漢されていたのである!!
嘘でしょ!?高校生活スタートと同時に痴漢なんて・・・。不運にも程があるでしょ!?
てか・・・どうしよう・・・。
痴漢なんて私には初めての経験で、どうしたらいいか分からないまま降りる駅の一駅前まできた。
すると、
声がした方を振り向くとそこにはとてもカッコイイ青年がいた。
その青年は、がっと痴漢者の手をつかみ私から引き離した。
痴漢者は、言い訳を吐きながら逃げていった。
お礼を言おうと思い青年がいた方を向くと、
もう青年はどこかに行ってしまったらしい。
だが、確か私の行く所の制服のはずだ。
もしかしたら会えるかもしれない。
会えたらいいなと、心を少しはずませながら
学校へ向かった。
*******
学校につき、教室を確認するともう皆集まっていたようだ。
もう女子はグループ分けを始めそうである。
突然声をかけられ、とてもびっくりしたが
振り向くともっとびっくりする人物がいた。
そう、そこには私の幼馴染で中学生のときに離れてしまったシルクが立っていた。
私は、中学に上がる前に引っ越してしまった。
毎日のように遊んでいて
兄弟のようだったシルクとの別れは
当時の私にとっては辛い出来事だった。
そのシルクが一緒の学校なんて!!
するとシルクの背後から大きい人がのそっと入ってきた。
ん?今さらっと別のクラスって・・・。
お友達が一人増えたなぁ!
しかも、シルクとも友達の人だし!
ンダホの会話ででてきた人だよね、どんな人なのかな・・・。
すると、ガラガラと教室のドアが開いた。
中に入ってきた人は、なんと痴漢されていた時に助けてもらったあの青年だった!
マサイ!?シルクのお友達の!?
いやぁ、偶然ってあるものなのね・・・。
・・・てか、電車で見た時も思ったけど・・・カッコイイなぁ。
とっさにマサイの口を抑えて
流石に痴漢されてたのを助けてもらったなんて恥ずかしいことをシルクには知られたくないので、隠した。
マサイ君も嘘に乗ってくれて良かった・・・。
お礼も言えたし、お友達になれたし、良かったなぁ・・・。
これから、高校生活が楽しみだと改めて思った。
続く
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!