私達は翔の朝練がない日は一緒に学校に行く。
ちなみに私はチア部!
運動部の大きな大会の前だけ練習して本番に応援しに行くっていう結構気楽な部活。笑
待ち合わせの時間からちょっと遅れて翔が家から出てきた。
「おはよ!」
「…うん。」
「どしたの?寝坊?」
「………うん。」
明らかにいつもと違う翔だった。
「違うんじゃない?寝坊じゃないでしょ。」
「…いや、なんかたまに朝めっちゃ頭痛い時があって、いつもはすぐ治るんだけど今日は治ってない。」
「え、いつも朝練行ってるのに?」
「いつもはすぐ治る。」
「大丈夫?」
「うん。だけどハンマーで殴られた感じ。」
めっちゃやばいじゃん。
「寝不足とかもあると思うよ?最近遅くまで起きてるでしょ」
「なんで知ってんだよ」
「隣の部屋がずーっと明るいから!」
「あぁ…部活のメニュー作ってんだよな毎日。放課後は指揮の練習あって最近あんま部活行けてないからさ。キャプテンだし。」
そっか。大会もあるんだしね。大変だよね。
「翔、指揮も上手くなってきたし、部活もちゃんと出た方がいいよ。」
「そうだな。…でも。」
「でも…?」
「凛華と居たいからさ」
翔はそう言って笑った。
「…もう!」
好きな人にこんなこと言われると、やっぱり嬉しいもんだね。
私達は電車に乗り、学校に着く頃は翔の頭痛も治っていた。
やっぱり寝不足かもね。
と思っていた。この頃は。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!