「梨紗、なんか最近生き生きしてるね。なんかあったの?」
そう言ったのは私の親友、美希だった。
その問に私はお茶を飲みながら答えた。
「そ、そう…?特にいつもと変わらないと思うけど…。」
「いや、絶対なんかあったでしょ。ほら例えばさあ、梨紗っていつも図書館で本読んでるじゃん?だからそこでイケメンに出くわしたとか!?ね?そうでしょ?!」
思わず美希にお茶を吹きだすとこだった。
(美希の感は変なとこで当たるから怖いんだよな…。)
「あ、その反応はもしや?図星かな…?え、だれだれ!!紹介してよ!!!」
「違うよ?美希、あんたはイケメンの事しか脳みそにないだろ。妄想ばっかしてないでさっさといい男見つけなさい。笑」
「ちぇー。なーんだ違うのかー。でも梨紗、あんたもそんな呑気なこと言ってられないぞ!彼氏いない歴=自分の年齢はまずいよ?!」
「わかってるけどさあー。はあ。」
「何があったのか知らないけどさ、せっかくのチャンス何もしないでいるのはもったいないよ。ほら怖い顔しない!まずは笑わないとね!」
そう言って美希は私の頬をつねった。
(美希のこういうところは好きだなあ。)
「い、いひゃいいひゃいいいい〜。わ、わかっひゃかりゃはぁなしてえー。」
「あ、噂をすればほら、来たよ。ほら行ってこい!」
美希は私をドアの方へ回転させ、背中を押した。
「え、なんであの人がいるの…。てか怖…なんでクラス知ってんだよ…。」
(今更気づいたけど上履きの色、私と同じ…。)
後ろの親友に目で訴えてみたが、満面の笑みで親指をたててるだけだった。
(くそお…。)
仕方なくドアの前に立つ彼の前へと足を進める。幸い、部活動などのお陰で周りに人は少なく変な視線を浴びることは無かった。
「迎えに来たよ。」
「え、誰もお願いしてないです。」
「俺がそうしたいと思ったから来たんだ。」
「そ、そうですか…。」
「今日も本、読むでしょ?」
「は、はあ…。あ、あの、あなたは一体n…」
言いかけたところで彼の手が私の腕を掴んだ。
意外としっかりしている男らしい大きな手。
(手が冷たい…)
振りほどこうと思えばできるが、何故か私はそのままこの力に委ねてしまいたいと思ってしまった。
太陽の日が、二人を照らし出す。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。