クロウ教団から遠く離れた街、オリペテスタではいつも雪が降り注いでいた。足を踏み入れればフカフカとした雪に足をとられる。白い床に白い建物…視界はただただ幻想的な景色が広がっている。
クロウ教団から出たある任務でオリペテスタに来ていた字等は、踏み入れる度雪床に沈む足に少し腹を立てていた。
一歩、また一歩と足を進める度に体力を消耗していく。そしてこのオリペテスタに着くまでにどれ程の距離があったのか思い出すとよけいに疲れてしまう。
字等は冷たい雪に腰を下ろし、フードを深く被ってため息をついた。その吐く息はとても白く、静かに風の吹く方向へ流れていった。それをなんとなく目で追い、空を見上げてみた。
雪がチラチラと降ってくる青い空が見えるはずだった。しかし、
そう言いながら字等の前に仁王立ちしている、肌の白い少女。
いつからそこに居たのか、疲れきっている字等にはそんな考えも浮かばなかった。しかし、ひとつだけ聞きたい事がある。
あなた、と名乗る少女は
この冷え込んだ雪の街には不似合いなノースリーブのワンピースを着ていた。白く長い髪に白い肌、そして少しグレーがかったワンピース。身長は150cmぐらいで、瞳の色は水色だった。
あぁ、そうかよ。と
返事するのも大変そうな字等の顔を、
あなたが覗き込む。
あなたの問いかけに答えない字等。
あなたは先ほどの様にもう1度
字等の顔を覗き込んでみた。
ここはオリペテスタという一面真っ白な雪景色の街で、見える色はだいたい白。
そんな中、突然現れた謎の男。
深く被ったフードから、
ちらりと見えた赤い髪に思わず見とれる。
女みたいに綺麗な顔立ちをしている字等の寝顔に見とれていたが、眠気に負けたはずの字等が目を覚ます。
初めて至近距離で見るお互いの顔にお互いが驚き仰け反った。
字等とあなたの出逢いは
少し最悪だった。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。