“ ねぇきいたー? ”
“ きいたきいた、高塚先生のことでしょ? ”
“ そう!前の学校で生徒に手出したっていう! ”
“ イケメンだからってそれはねーわ ”
わかってた。いずれ噂されるんだろうって。
どっからそんな情報仕入れるんだよ。
でも。そう言われるのも無理はねーよな_
- - - - 4年前 - - - -
それはまだ俺が教師を始めて1年目のことだった。
『せーんせ。』
「なんだよ。もう帰れよー、暗くなってるから。」
『冷たいなぁ笑』
放課後。教室にたまたま2人。女子生徒と。
普通ならこんな展開にドキドキするんだろうが、あいにく俺はそんなことなかった。
「べたべたすんなって...」
この生徒は厄介だった。
まだ働き始めたばかりの俺を困らせて。
「お前彼氏いんだろ。」
『へー、いなかったらいいんだ。』
「そういう問題じゃ...」
『わかった、離れてあげる。でも...その代わりにキスして?』
「は?そんなの無理に決まって...」
その時俺の口に何かがあたった。
唇...?
「ちょっ、高塚先生...?なにしてんの...?」
ああもう最悪だ。他の生徒に見つかるなんて。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。