「おはようございまーす。」
俺は覚悟を決めて教室のドアを開いた。
“ 先生ー?噂ってマジ? ”
“ それな?マジだったらやばくねw ”
『ね、太陽、噂ってなに?』
え、あなた、知らないのか?
瀬戸が小声であなたに教える。
やめろ。教えんな。あなたには...失望してほしくない。
『は...?』
あーだめだ。もう...
『みんな...それ信じてるの...?』
え?
『バカじゃん!!噂だけで先生の印象悪くするの?自分の担任くらい...信用しようよ!!!』
「あなた...」
『あっ...ご、ごめんなさい!!』
あなたは走って教室を出て行った。俺のために...怒鳴ってくれたのか?
“ 確かに...そんなわけないよな。先生?
してないんだよな? ”
「してるわけねーだろ。」
俺...あいつにひどいこと言ってんのに...
なんで俺のことかばうんだよ。
なんで俺の心の中にズカズカ入ってくるんだよ。
瀬戸のこと好きになるんじゃないのかよ_!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!