第7話

春7
73
2017/12/16 10:24



すいれん)…ここが移動授業で使う教室で、ここが……

それにしても、広すぎでしょ、この学校…。迷子になる自信ありまくりなんだけど。

私は学級委員2人の案内を聞きながら、あたりを見回して場所と名前を一致させていった。




不意に窓から外を見ると不思議な建物が見えた。
中庭の木々に囲まれた木製の小屋のようなものがぽつんと1つある。

それにとても魅力的なものを感じた。
どうやら、そこの空間は時間の流れをゆっくりにさせるような雰囲気をもっているようだ。

何かに引かれるように私は小屋に足を運び、扉の前に立つ。


躊躇なくドアノブに手をかける。
扉は開いているようだ。

息をすることを忘れるほど何故か緊張していた。


ガチャ…


扉を開けると…
窓からさしこむ日の光で部屋の中は明るい。

中には、長机が2つと、その長机を挟んで手前と奥にソファが置いてある。

部屋の中を散策していると、
入口から入った時には見えなかったが、手前のソファに男の人が寝ているのに気付いた。


さしこむ光に照らされて艶のある黒髪が綺麗だ。
それにまたしても美形。


開いている窓から入るそよ風になびく黒髪。
気持ち良さそう。こっちまで眠くなってくる。

なんて無防備に寝るんだろうこの人は。

なんとなく向かい側のソファに座る。


でも、初めて見る人なのに見覚えのある顔。
どっかで会ったことがある?いや、記憶力には自信がある。一度会話したなら絶対に覚えている。


会ったことがないなら、なんで知ってるんだ?
あ。まさか…






テレビを通して会ったことが⁉︎
てことは、この人は芸能人ということか。でも、あまり覚えていないからそんなに頻繁にはテレビに出ていないはず。
ならば、私は今、俳優の卵を直接見ているのか⁉︎
起きたらサインでも書いてもらおうか。



そんなことを考えながら、日の光の暖かさとそよ風の気持ち良さにやられた私は眠りに落ちた。










プリ小説オーディオドラマ