第2話

〜episode two〜
775
2017/12/14 12:29
ありさ
ありさ
あっ、先輩!
すみません、至急とか書いちゃって。よくよく考えたらそうでもありませんでした…
ツバサ
ツバサ
あ、ああ、いいよ。
ありさ
ありさ
それで、お仕事なんですが、
ひめ先輩とミュージカルの
主役の依頼がきてます
ツバサ
ツバサ
…!ひめ、と、なのか?
ありさ
ありさ
はい…?そうですけど、
どうしたんですか?先輩
変ですよ
青い髪の三つ編みリング、
劇組幹部の坂本ありさは
心配そうにツバサの顔を
覗き込んだ。
ツバサ
ツバサ
いやな、さっきいろいろ
あって…
ありさ
ありさ
…そうなんですか
なんとなく重苦しい空気が
流れたとき、バン!と劇組の
扉が勢いよく開かれた。
ゆり
ゆり
ツバサ先輩ー!!
今度の集会の企画なんです
けどー…あれっありさ?
ありさ
ありさ
ゆりー…空気よんでよ…
ゆり
ゆり
へ?
茶色のツンツンした
ボブヘアーの、芦田ゆりは
不思議そうな顔をした。
ゆり
ゆり
あっ、もしかしてお取り込み中
でしたか?!すみません!
ツバサ
ツバサ
いや、いいよ。
坂本、その仕事は受けるって
言っておいてくれ。
それと、芦田、その企画
見せて
ありさ
ありさ
わかりました
ゆり
ゆり
はーい!
ツバサ
ツバサ
じゃあレッスン室でも
行こうか。坂本、ありがとな
ひめをほったらかしたのが
少し気がかりだが、仕方ない。
生徒会長であり、劇組S4として、
私事で頭がいっぱいになっては
アイドル失格だ。

そう、演じきる…気づかれないように、
誰にも…
一方、ひめはというと、自分の
ベッドに突っ伏してしゃくり
あげていた。
ひめ
ひめ
…ツバサが悪いのよ。
わたしをここまで惹きつけて
おいて、今更興味ないみたいに
と、コンコン、とドアを
ノックする音が聞こえた。
夜空
夜空
ひーめー?
はいるわよ?
ひめ
ひめ
ちょっ、ちょっとまって
急いで涙を拭いて、
ドアを開けた。
ひめ
ひめ
どうぞ
夜空
夜空
ありがと〜、あのねぇ、
真昼ちゃんのために
マフィンを焼いたら、
作りすぎちゃって…って、
あら?
夜空はひめの目を覗き込んだ。
ふわりと妖艶な香りが舞う。
ひめ
ひめ
…なあに?
夜空
夜空
…ひめ、泣いてたの?
ひめ
ひめ
…なぜ?
夜空
夜空
目が赤いもの。
涙の跡もついてるわ。
どうしたの?
ひめ
ひめ
…実はね

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