青い髪の三つ編みリング、
劇組幹部の坂本ありさは
心配そうにツバサの顔を
覗き込んだ。
なんとなく重苦しい空気が
流れたとき、バン!と劇組の
扉が勢いよく開かれた。
茶色のツンツンした
ボブヘアーの、芦田ゆりは
不思議そうな顔をした。
ひめをほったらかしたのが
少し気がかりだが、仕方ない。
生徒会長であり、劇組S4として、
私事で頭がいっぱいになっては
アイドル失格だ。
そう、演じきる…気づかれないように、
誰にも…
一方、ひめはというと、自分の
ベッドに突っ伏してしゃくり
あげていた。
と、コンコン、とドアを
ノックする音が聞こえた。
急いで涙を拭いて、
ドアを開けた。
夜空はひめの目を覗き込んだ。
ふわりと妖艶な香りが舞う。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。