第8話

〜episode eight〜
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2017/12/25 06:02
ひめはそっとツバサから
顔を離すと、ツバサの制服の
胸ポケットに手紙を入れて
生徒会室を出た。
ツバサ
ツバサ
…?!
ひめが出ていったのを
片目で確認したツバサは、
ガバリと跳ね起きた。
ツバサ
ツバサ
…今何が起こった?!
まだ右頬が熱い。
ひめの桜色の唇が触れたところ
だけ、きゅんきゅんと
火照っている。
ツバサ
ツバサ
それと…手紙?
そっと胸ポケットを
探ると、白鳥模様の封筒が
出てきた。
そっと指で金のシールを
剥がし、便箋を取り出した。
親愛なる、如月ツバサ様。

わたしの気持ちを伝えるために
ファンレターを書きます。
あんなこと言ってごめんなさい。
ツバサが見てくれないなんて、
わたしばっかり焦ってて
ばかみたいだったわ。
ツバサは生徒会長や
寮長もやってて忙しいのに、
いっつもまわりのみんなの
ことを見ていたのね。
ゆずやリリィちゃんから
聞いたわ。昨夜はずっと、
みんなのアドバイスを考えて、
2年生への特別レッスンの
書類をまとめていたのだって。
ツバサが1人で抱えていたなんて、
気がつかなかった。
同じユニットのパートナー失格
だわ。でもね、まわりを
よく見てみて。
あなたは1人じゃないの。
わたしもいるし、夜空やゆずも
いる。ずっとあなたを応援
しているわ。
大好きよ。

ーツバサへーひめよりー

ツバサ
ツバサ
…ひめ
居ても立っても居られなく
なったツバサは、生徒会室を
勢いよく飛び出した。

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