プリ小説

第31話

ロキ/フレイの過去 ④
その事件は、直ぐ様オーディンの耳に届いた。

バルハラに限らず、神界ムスペルヘイム内は混乱に陥った。
オーディンは直ぐにバルドルと多数のワルキューレを事件の起こった街へ、そして自らは多数のエインヘルヤルと共にフレイの捜索に出向いた。


バルドルとワルキューレ達は滅んだ街の、僅かな生存者の救出をしていた。
そこで、バルドルはへズルを見付ける。
光を失った弟を───


エインヘルヤル達と共にフレイを探していたオーディンは、遂に森の中でフレイを見付けた。
だがその姿は変わり果てており、オーディンでさえも恐怖を感じた。


フレイは一先ず牢獄行きとなった。

神の処罰には何段階かある。
刑が軽いものだと、牢獄に何年か、一定期間神の力が使えないようになるか。
だが刑が重くなると、その期間が長くなる。
更に重いと、更に長くなる。
───と、そして極刑は、死では無い。
神の力を永久に失い、神界ムスペルヘイムから追放する。
さらに、徐々に記憶を失ってゆく。
その様にして、神は処罰される。


フレイには、極刑に限りなく近い判決が言い渡された。
力を失った事で、フレイの翼は黒く焦げた様になった。
そして神界ムスペルヘイムから追い出され、魔界ヨツンヘイムへと行く事になった。

最後にフレイを送る時に、オーディンとバルドルが立ち合った。
あの事件から互いに、口をきいていなかった。
沈黙が流れるその空間を破ったのはフレイだった。

───そんな寂しい瞳をしないでよ、オーディン、バルドル

そう言うフレイの瞳が、一瞬昔のフレイに戻った気がした。
そう思ったオーディンとバルドルが口を開いた瞬間、それは崩れ去る。

───いつか、復讐しにまた戻ってくるから



そう言い残して、フレイは大樹・ユグドラシルから魔界ヨツンヘイムへと渡った。


その後、オーディンとバルドルはフレイが魔界ヨツンヘイムでロキと名乗り動いている事を、1人の神が悪魔の犠牲になった事で知った。
ロキは自らの力を再び得る為、悪魔に悪意を吸わせ、それを力にしようとしていた。

オーディンとバルドルはどうする事も出来なかった。

この事件は、本当にフレイが悪いのか。
人間が愚かなせいではないのか。



オーディンはそんな迷いから、あのイヴに、人間に裁きを与える事に必死だったのだろう。

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