プリ小説

第35話

不眠
「バルドルさんッ!!」
真穂は急いでバルドルの部屋へと向かった。
その騒々しさに聖夜も部屋から飛び出てくる。
「どうしたんだよ、真穂!!」
「今、私の夢に、ロキ───フレイが出てきて!!」
「何!?」
「ほんの挨拶って…本格的に危ないかも───!!」
「飛ばすぞ!!」
そう言うと、聖夜はマントを素早く羽織った。
そしてそれを広げると、真穂を抱え、長い廊下をひとっ飛びした。



「バルドルさん!!」
真穂と聖夜は急いでバルドルの部屋のドアを開けた。
───そこには、黙々と研究を続けるバルドル。
「ば、バルドルさ───」
「出来た!!」
真穂の言葉を遮る様にバルドルが叫んだ。
「えっ!?」
「お、おい、バルド───」
「ああ、2人とも、こんばんは」
「いや、正確にはもう、おはようだけど」
思わず冷静にツッコミ返してしまう聖夜。
「いやいやいや、それよりバルドルさん、まさか寝てないんじゃ…」
「あ、バレました?」
「目の下真っ青です」
真穂にそう言われ、慌てて目の下に触れるバルドル。
「おかしいな…三徹には慣れてたハズなんですが」
「さ、三徹!?何やってるんですかバルドルさん!!」
「何ってへズルの薬を…」
そう言い、机の上に置かれていた試験管を手にしようとするバルドル。
だが、その手はふわりと傾き───

「バルドルさん!!」



バルドルは、倒れた。



───一方、へズル宅。
へズルは部屋の窓から外を見ていた。
否、正確には見ているようにしているだけ。
へズルは両眼を覆う包帯を静かに撫でた。

───コンコン

「へズル君」
ノック音と同時に、窓の外から声が聴こえた。
「その声、フレイさん?」
「そうだよ」
へズルは手探りで窓の鍵を開けた。
「こんにちは、フレイさん!」
「こんにちは…とは言っても、まだ、朝なんだけどね」
「そ、そうですか」
気まずそうにするへズル。
そんなへズルの頭をぽんぽん、とフレイは撫でた。
「気にする事は無いさ。それよりへズル君…」
「は、はい」
フレイはへズルの耳元に近付いた。
そして、頭をトン、とつつき、囁く。


「君を盲目にした奴がいるんだけど」



「復讐しようとは思わないかい?」

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