プリ小説

第25話

聖夜とアサヤ
一方、聖夜は餓鬼を退治すると同時にある場所に来ていた。
そこは、城島家。
真穂が、嘗て住んでいた家。
自分達で無くした歴史の中で、自らが毎年イヴにやって来ていた家。
今はそこに真穂に代わって住む、アサヤを訪ねた。

真穂の部屋だった窓をノックすると、アサヤは驚いた様な、分かっていた様な、静かな笑顔で窓を開けた。
「1年ぶりか───7年先と言うべきか」
「いや、1年ぶりだな」
聖夜はゆっくりと部屋に入った。
そこは嘗て真穂が居た部屋と、殆ど同じだった。
「なるべく、変えないようにしてあるんだ」
「そっか」
それから聖夜は床に腰を下ろした。
アサヤもその向かいに座り、2人はこの1年の事を話し合った。

聖夜は、真穂や神界ムスペルヘイムの事。
アサヤは、城島家やこの1年の生活の事。

「1年も住んでりゃ、慣れるか?」
「まぁな…真穂は、大丈夫か?」
「もっちろん!」
「そうか、それは良かった」
アサヤは安堵したのか、見た事も無いような優しい笑みを浮かべた。
「へー、お前、そんな顔して笑うんだ」
「真穂のお蔭だ」
「そりゃあな」


暫くし、時間がかなり経っている事に気付くと、聖夜は慌てて帰ろうとした。
「サンタクロースも大変だな」
「正確にはクロースだけどなっ」
そんな他愛ない会話をしていたが、ふとアサヤが会話を止めた。
「…なぁ」
「ん?」

「フレイ…って知ってるか?」

アサヤのその問いに、聖夜の動きが止まった。
───フレイ。
へズルの前に現れているという、その神───
「あ…!!」
聖夜の中で、記憶が繋がった。
「…どうして、その名前を?」
「…俺に、オーディンの存在やその覚醒方法を教えた神だ」
アサヤのその言葉で、聖夜はハッキリと分かった。
───フレイは…



雪が舞う空の下、聖夜は餓鬼を退治しながら只管に走っていた。
人間には見えない大樹・ユグドラシルを目掛け、走っていた。
(ちくしょう…なんであの時気が付かなかったんだ…)
以前、バルドルの事を調べた時。
そこに、へズルの事も書かれていた。



───"尚、バルドルの弟であるへズルは、現界アルフヘイムに行った際に火事に遭った人間を救助する為に力を使い、その場に倒れた際に炎に襲われ失明。
その後の調べでその火事は火の神・フレイが起こしたものと判明。
その後フレイはオーディンによりバルハラを追放され、現在は魔界ヨツンヘイムへ行き悪魔となっている"───

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