プリ小説

第26話

図星
聖夜はバルハラに戻ると、真穂の元へ行く事も無く、真っ先にバルハラの歴史図書館へ入っていった。
そして[フレイ]とキーワードを入れる。
ドサドサと大量の本が本棚から引き抜かれ、聖夜の前に置かれる。
バルドルの時と同様、かなりの冊数だったが今はそんな事は気にしていられない。
聖夜はそれらしき本を手に取り、開いては、違ったと閉じを繰り返した。


だが一向に見つからない。
───と、はらり、と美しい紅色の羽根が落ちた。
紅い瞳を持つ美しい女神。
「あー…アンタは…そうだ、ウルドだ!」
失礼極まりない聖夜のその言い方を完全に無視し、ウルドはつかつかと歩み寄る。
「サンタクロース、フレイの事は調べるな」
そう言うと、手から不思議な光を放ち、次々と本を棚に戻した。
「な、何すんだよ!!」
「今度ばかりは許可出来ません!!」

「フレイがロキだからか!?」

聖夜のその言葉にウルドは黙った。
それが核心を突いたという合図だと聖夜は理解した。
「…やっぱりか…」
「そうですよ…フレイは…悪魔ロキに…だから!!」

「聖夜!!」

2人の言い争いを、真穂の大声が静止させた。
「真穂…」
真穂は静かに聖夜のウルドの間に立った。
「…バルドルさんから、フレイの…ロキの事は聞いた」
「えっ」
「だから聖夜、ここで女神様と争う必要は無いから」
聖夜の腕を掴むと、真穂はウルドを見た。
そして、にっこりと微笑む。
「女神様、大丈夫ですから」
状況を把握しているのか、否か───
真穂のその揺るぎない微笑みを見て、ウルドは溜息を付いた。
「では…今日はここで失礼致します」
ウルドは一礼すると、光になってその場から消えた。

その光が完全に消えるのを見送ると、真穂は聖夜を見た。
「聖夜…」
明ら様に不機嫌そうな真穂の表情。
聖夜は頭を掻いた。
「その…ごめん、出しゃばって…」
「そうじゃなくてっ!」
真穂は聖夜の腕を掴む手に力を込めた。
「イヴはとっくに終わったのに、なかなか帰ってこないから心配してたし…1人で抱えないで…」
瞳を潤ませ、俯く真穂。
そこで聖夜はふと、真穂の小ささを感じた。
そうだ、真穂は本当はただの少女なのだ。
聖夜は少し考えるようにすると、真穂の頭にぽん、と手を置いた。
「ごめん、心配掛けて…」
「これからは…気を付けてね」

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