プリ小説

第29話

ロキ/フレイの過去 ②
フレイは密かに覗いていた事も忘れ、その場に飛び出した。
女性は犯された直後で、朦朧とした瞳でフレイを見た。
女性に対して暴行を加えていた者達や、女性を凌辱した男は慌ててその場を去ろうとした。
フレイは何も言わずに、ただ黙って、人々と男を睨んだ。

───男の身体が発火した。
断末魔の叫びを上げ、男は燃えた。
そして次の瞬間には灰になっていた。
最期に骨だけがゴトゴトと落ちた。

人々はその一瞬の出来事を訳が分からぬまま、見ていた。
フレイはそんな人々の前に歩み寄った。
その、果ての無い闇を見る様な瞳で。
───その瞳に見据えられた者が、発火した。
次々に、発火した。
そして灰になっていった。
骨だけが残った。
いつの間にかその火は業火へと変わり、教会ごと人々を焼き尽くした。

フレイは女性を抱え、空へ舞った。
女性は傷付いた身体で、フレイに只管に謝った。
フレイは何も言わなかった。
そして女性を抱き締めた。
神の力を女性に注ぎ込み、その傷を癒した。

女性は眠っていた。
フレイと出会った森で眠っていた。

フレイはそれを確認すると、街へと飛び立った。



人々はフレイを見るなり、絶句した。
───化け物だ、怪物だ、逃げろ、殺される
そんな言葉が、小さな声で飛び交うのをフレイは逃さなかった。
その言葉を発した人間を、片っ端から焼き殺した。
老若男女を問わず。

神とは何だ。
そんな問いがフレイの脳内で繰り返されていた。
愛する者1人守れなくて何が神だ。
人を不幸にする者を守って何が神だ。
フレイのその瞳は純粋な程に真っ黒だった。


フレイは、人々を片っ端から殺めていった。
建物を焼き払い、街ごと消そうとしていた。
だがその街の一角の家に、邪魔が入った。
神だった。
炎で焼かれようとしていた家の住民を次々に避難させていたのだ。
───それが、へズル。
へズルは、住民全員を避難させると力尽きた様にその場に倒れ込んだ。
フレイは影からそれを見ていた。
そしてへズルが動けない事を悟ると、へズル目掛け炎を放った。
へズルはそれを完全に避けられず、盲目となった。



街は一夜にして壊滅した。

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