プリ小説

第27話

それぞれの思い出
バルドルは1人、部屋に籠もり研究を続けていた。
弟・へズルの盲目を治す薬を作ろうと、ずっと前から続けているのだ。
(早く完成させねば、へズルがフレイに…)
最悪の事態が脳裏を過ぎる。
それを必死に振り払うと、バルドルは再び研究に没頭した。



「えっ、ロキが!?」
バルハラ内の歴史図書館から少し歩き、2人は真穂の部屋で寛いでいた。
そして真穂は聖夜の不在中に、ロキ───フレイが来て、起こった出来事を伝えた。
聖夜は大変驚き、目を見開いた。
「そう…バルドルさんが居なかったら私、今頃…」
「…ごめんな、大変な時に居なくて…」
落ち込む聖夜。
そんな聖夜の額を、真穂はコツン、と小突いた。
「なーに言ってんの。サンタ"クロース"でしょっ。昇天出来ない餓鬼を昇天させないと!」
「真穂…」
真穂は満面の笑みを聖夜にみせた。
恐ろしい出来事の後にこんな笑顔が出来るのか、と聖夜は釣られて微笑んだ。

「あ…そうだ、肝心の、ロキ…ううん、フレイの事なんだけど…」
「そうだ、俺はそれを、アサヤから…」
その言葉に、真穂はバッと立ち上がった。
「アサヤから!?」
「あぁうん、餓鬼退治に行くなら、やっぱ行っときたかったし」
「だよねぇ…ねぇ、どうだった?元気だった!?」
目をキラキラと輝かせ、訊ねる真穂。
それもそうだ。
自らの人生を託したのが、アサヤなのだから。
「そりゃー勿論、相変わらず無愛想だったぜ。少年になったからまだ可愛げがあったもののな…あ、でも、アイツ笑うようになったぞ!」
その言葉に、真穂の笑顔は満開になった。
それと同時に、どこか切なげな瞳になった。
「ふふっ、良いなぁ、会いたかったぁ…」
聖夜は直ぐ様、真穂に笑顔を向け、小指を出した。
「今度一緒に行こうぜ。"やくそく"!!」
それを聞いて真穂は思い出したように、小指を結び返した。
「昔も、こうやって約束して毎年会ってたよね…指切りげんまんはしてなかったけど」
「おうよ!俺は絶対、何処にいても真穂の味方だかんな!!」
「…うん」
聖夜のその笑顔に安堵したのか、真穂は再び笑顔になった。

「そうだ、本題本題」
真穂がぱん、と手を叩いて和んでいたムードを正した。
2人の目付きが真剣なものになる。
「ああ、ロキがフレイでフレイがロキで…」
「うん、バルドルさんに聞いた話では───」
真穂は、バルドルから聞いたロキの───フレイの過去を語り始めた。

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