プリ小説

第33話

悪寒
「バルドルさん!!」
真穂と聖夜は大急ぎでバルドルの部屋へと向かった。
そしてノックをする事も無く、部屋に入っていく。
部屋の中では、その音に気付く事も無く黙々と研究を続けるバルドル。
「ば、バルドルさ…」
「真穂さん、失礼ですが私今大事な…」
「そうじゃなくて!!フレイが!!貴方、このままじゃ危ない…」
「アイツの復讐は、今に始まった事じゃありませんよ」
あくまでも淡々と研究を続けるバルドル。
「いやいや、かなり結構危ねぇってば!!」
「前にアイツが直接来たって事は、宣戦布告でいよいよ…」
「真穂さん、聖夜」
バルドルは椅子から立ち上がり、真穂と聖夜を見据えた。
「私の身を案じてくれるのは嬉しいです…が、私もそんなに間抜けじゃない」
その言葉に、真穂と聖夜は黙り込んだ。
「アイツの復讐が今、完全なものにならないように研究を続けているんです」
「…それって、へズル君の目を治す…」
「…その通り」
バルドルは2人の前に歩み寄ると、2人の頭に手を置いた。
「大丈夫、私、これでもオーディンの右腕ですから」
「…もう、オーディンは私です…」
「そうでしたね」
そう言ってにっこり笑うと、2人の頭を撫でてバルドルは再び研究に戻った。
真穂と聖夜は静かにバルドルの部屋をあとにした。


「…あれはズルいよな」
「…うん」
とぼとぼと、長い廊下を歩く2人。
その足取りは何処か重くて。
「…念のため、エインヘルヤルを護衛に付けようぜ」
「そうだね」
そう言うと、真穂は近くにあったベルをりん、と鳴らした。
すると数人のエインヘルヤルが瞬く間に現れた。
エインヘルヤル達は跪き、頭を垂れる。
「「お呼びでしょうか、真穂様」」
「バルドルさんの護衛をしてもらいたい。それから、へズル君にも」
「「承りました」」
そう言うと、エインヘルヤル達は各自の行くべき場所へと颯爽と散っていった。
それを見送ると、真穂は俯いた。
「…考えたく、無いのに…」
「真穂…」
「嫌な考えが、止まらないの」



窓の外は、曇っていた。

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