プリ小説

第5話

勃発
ある日、真穂と聖夜は2人で神界ムスペルヘイムを探索していた。
煌びやかな装飾が美しい建物が並ぶこの世界。
空は澄み切った水色に、所々虹色のオーロラが掛かっている。
排気ガス等は無く、空気が澄んで美味しい。
新緑も豊かで、海も青々とし、砂浜は煌めき、とても美しい。
「地球本来の姿みたいだな」
「本当、なんか神様になって良かったって感じ」
「俺も真穂と一緒に此処に来れて良かったぜ──ん?」
聖夜が何かを見付ける。
「あれは…」
青々とした海の、地平線の、その先───
霧掛かっているが、それは確りと見えた。
「あれが…大樹・ユグドラシル?」
「そうか、あれが…」
遠くにある為小さく見えるが、その偉大な出で立ちと美しさは確かに分かる。
「綺麗だね…あれが、他の世界と繋がっているんだ…」
「だな…ん?」
目を凝らす聖夜。

───何かが、こちらに向かってやって来る。

「真穂、気を付けろ───」
聖夜が、そう言った瞬間。
向かってきたそれは、真穂に襲い掛かった。
「危ねェ!!」
聖夜の咄嗟の蹴りが、それに命中し、吹き飛ばす。
「真穂、大丈夫か!?」
「う、うん…」
真穂はそれを確と見た。
人の形をしているが、人とは思えない出で立ちだった。
薄汚れたその肌からは、黒煙が溢れて止まらない。
手脚の関節部分が柔く、カタカタ動き離れては、引き合い───不気味な動きを繰り返す。
髪は蛇の様に、畝る。
瞳がだらりと垂れており、鼻は無く、口は形を留めず大きくなったり小さくなったりを繰り返す。
その口からこの世界のものとは思えない声を上げ、それは再び真穂に襲い掛かる。
「真穂、下がって!!」
「聖夜!!」
聖夜がポケットに忍ばせていた拳銃を出す。
そして、発砲。
───だが、その銃弾はそれには効かなかった。
「これが効かねェって事は、コイツ、餓鬼じゃないのか…!!」
聖夜は舌打ちし、マントを羽織っていない今は実力行使に出るしかない。
それの腹に拳を入れる。
────だが。
「!?」
それの腹は聖夜の拳の威力を吸収。
その手諸共取り込もうとする。
「なんだ、コイツ…!?」
「聖夜、避けて!!」
真穂が、左指の先から光を放つ。
聖夜を避け、光はそれに命中。
聖夜の手を無事に引き抜いた。
「間一髪だったぜ…真穂、ありがとな」
「う、うん…餓鬼じゃねェなら、コイツ、一体…」


「それは、悪魔だよ」


何処からか響く、その声───


見ると、煌めく砂浜の奥から、1つの男の人影が。

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