プリ小説

第6話

初めての悪魔退治
その、男の人影は歩み近付いてくる。
「貴方は…?」
黄土色の、長めの整っていない髪。
軽めの上着に、緩めのズボン。
だが、それには鎖や錠前が巻き付いており、何とも言えない恐ろしさを醸し出している。
背中からは真っ黒に焦げた様な翼が萎びていた。
「やぁ、君が新しいオーディンなんだっけ?」
その男は、無邪気に微笑む。
だがその瞳の奥からは恐ろしさが滲み出ていた。
「…何故、それを…」
思わず足が竦む真穂。
その恐怖に負けぬよう睨みつける。
「やだなぁ〜そんな怖い顔しないでよ」
男は笑ったまま、異形の生物───悪魔に、ピョンと飛び寄る。
「君なら知ってるでしょ?悪魔の事」
「え、えぇ…」
「コイツ、悪意から生まれたものの完全に身体が出来る前に神界に来ちゃったみたいだねぇ。そりゃあこんな不気味な風になるワケだよ」
そう言い、男は笑いながら悪魔を蹴り飛ばした。
「あ…」
「早く殺しちゃいなよ、あれ」
微笑むまま、真穂に促す。
それはただ、恐怖でしか無かった。
「殺…す?退治…じゃないの?」
「同じ様なモノじゃん?ほら、早く」


「殺しちゃいなよ」


気付けばその男は背後に居た。
真穂の右肩に顔を置くと、擦り寄る。
聖夜は急いでそれを引き剥がす。
「なぁに、お前?サンタクロース?」
「サンタクロース兼、真穂のサポートだ。気安く近付くんじゃねーよ」
睨み合う両者。
真穂はその隙に、悪魔に駆けて、近付いた。
「殺す…かぁ…」

「フフッ、あの子純粋だね」
男は笑った。
「…あ?」
「悪魔は善意とやらを持って、清めて退治しなきゃならないんだ…普通に殺したら逆にその悪意に乗っ取られて死んじゃうよ」
「テメェ!!」
聖夜は男に掴み掛かる。
「やだなぁー、怖い顔しないでよ…ん?」
男の表情が固まった。
聖夜もそれを見て、動きが止まる。
その目線の先には、真穂。


「大丈夫…怖がらないで」
真穂は悪魔の、手と思えぬ手を優しく握り、微笑んでいた。
「苦しいんだよね、悪意でいっぱいで」
悪魔の瞳から、ぽろぽろと涙が落ちる。
「大丈夫。助けてあげるから」
真穂は聖剣を現した。
それをくるり、と回す。
優しい光が、辺りを包んだ。
見る見るうちに、悪魔の身体が澄んでゆく。
その姿は、美しく可愛い小さな女の子になった。
真穂は乱れていたその子の髪を撫でて整える。
「うん、可愛いよ」
その言葉に、女の子は微笑み───暖かな光を放ちながらゆっくり消えていった。


真穂はそれを見届けると、男を見据えた。
「これで、良いのかしら」
凛と、勝ち誇った様に放つその言葉。
「へぇ…凄いね…君、気に入った」
男は聖夜の手を振り解くと、真穂に歩み寄った。
「特別に教えてあげる。僕は、ロキって言うんだ」
「ロキ…?」
男───ロキは、少し考えるような動作をする。
「一応…悪魔なのかな?フフッ…これからも楽しませてね!」




「真穂ちゃん」

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