プリ小説

第13話

再生
「お疲れ、真穂」
その日の夜。
聖夜は真穂の肩を揉んでいた。
「うん、ありがとう…でも私、別に肩凝りしてるわけじゃないんだけど?」
「いやぁ、気持ち的な問題だぜ」
何か、変。
聖夜の笑顔が、いつもより堅い。
「聖夜、何かあったの?」
「えっ!?」
分かりやすい程に肩を跳ね上げ、目を見開く聖夜。
「動揺し過ぎ…分かりやす過ぎ」
苦い顔をする聖夜の額を小突く真穂。
「で、何があったの?」
「いや…そのさ」
聖夜は話し始める前に、一旦部屋のドアを開け、廊下を見た。
誰も来ない事を確認すると、真穂の耳元に寄った。
そして小さな声で、話し始める。

「バルドルの事…調べてみたんだけど」



バルドルの過去を話し───2人はおやすみを言い、互いの部屋に。
その後、2時間程経っても聖夜は寝付けなかった。
(バルドルの過去───)
布団から起き上がり、窓から何気無く月を眺める。
「明日は、ロキについて調べてみるか…」
と、呟いたその時。

「やめておけ」

凛とした、力強い───しかし聞き慣れたその声。
気付けばドアに持たれ掛かっていたのは───
「真穂?」
否、違う。
底から滲み出る雰囲気が、力が、真穂より計り知れぬ程恐ろしく、力強い。
「お前…」
その真穂は、1歩1歩聖夜に近付く。
聖夜はベッドから降り、その真穂と向き合った。
月明かりに照らされた真穂の白眼は、赤く血走っていた。
その赤と反転する様に、瞳孔は深い緑に光る。
いつかに見た、その瞳の色───
「…オーディンか」
警戒しながら、静かに言い放つ聖夜を、真穂───オーディンは鼻で笑った。
「良くぞ分かったな」
そして首筋の、再び畝り出した紋章を月明かりに照らす。



「我は、オーディンだ」

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