プリ小説

第22話

悪夢
「壊す…?」
その言葉は、真穂の背筋を凍らせた。
暗示を掛けられ、無防備にベッドのロキの上に倒れている今、首筋の紋章に触れるその手が恐ろしくて仕方が無い。
「そうだよ…壊すんだ」



「お前を───壊したい!!」



その言葉が合図だった。
ロキは、真穂の上に馬乗りになった。
首筋の紋章に触れていた手を、真穂の背筋に移動させる。
「な、何す───」
発せられるハズだった言葉は、ロキの唇に呑み込まれた。
そして深く、侵入された。
その荒さに、言葉にならない息を漏らした。
だが身体はまだ暗示が掛かっているのか、思うように抵抗出来ない。
真穂が呼吸を求めるように唇をずらしても、その度に顔の角度を変えられて、何も考えられなくなる程、深くまで引きずり込まれた。

漸く唇を解放された真穂は、その深さに焦点が合わないままだった。
「…は、ぁ…」
銀色の糸を引き、ロキはそれでもまだ物足りない様に真穂を見詰めた。
「ははは…これでも、結構壊れちゃうんだね…」
「ひど…い…こん…なの…」
真穂は一筋の涙を流した。
こんなのが、初めての口付けだなんて。
───ああ、聖夜が良かったなぁ。
と、ふとその思考が過ぎる。
「面白いねぇ、直ぐに壊れてく…あはははは!!」
ロキは高らかに笑った。
その瞳からは、底知れない狂気が滲み出ていた。
───怖い。
ただただ、その思考が真穂の脳内を埋め尽くした。

ロキの手が、真穂の身体を侵食し始めた。



逃げられない。
壊される。
逃げられない。
壊される。
逃げられない。
逃げられない。
逃げられない。
あああああああああああああああああああああ










「───!?」
真穂は、目を覚ました。
ベッドの上で、大の字になっていた。
「…さっき、のは…!?」
急いで時計を見た。
時計はまだ、聖夜を見送ったスグ後を指していた。
という事は、真穂はベッドにダイブして思いっ切り背伸びをして聖夜の事を考えた…という時には眠っていた、という事になる。
「ゆ、夢…かぁ…」
安堵して、またベッドに横たわった。
ああ、夢で良かった。
そして、今度こそ仕事をしようと机に向かう。








───掴まれた。



「やぁ、真穂ちゃん」



狂気の笑みは、すぐ傍に。

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