プリ小説

第28話

ロキ/フレイの過去 ①
ロキは昔、神であった。
───火の神・フレイ。
強い力を持ち、神界ムスペルヘイムでもオーディンと並ぶ程の実力者だった。
それ故にバルハラに迎えられ、フレイはオーディン、バルドルと共にその名を轟かせていた。
3人は不思議な友情で結ばれており、日々平穏に過ごしていた。


だがある日、その平穏は瞬く間に崩れ去る事になる。


フレイは、現界アルフヘイムの人間の、教会に住む美しい女性と恋に落ちていた。
神と人間の恋愛は禁止されている訳では無かったが、異例の事態ではあった。

神は実態を持たない。
それ故、神界ムスペルヘイム以外で姿を見せる時は、かなりの力を使う。
その場合、ごく稀に神の力が暴走する事がある。
フレイはそれを承知で、女性もフレイが神である事を知った上で交際を続けていた。

だがある日。
フレイは、街の中心で神の力が暴走したのだ。
身体から発火し、辺りの人々は混乱に陥った。
フレイの暴走は交際をしていた女性の呼び掛けによりなんとか収まったが、そこからが地獄だった。

人々の、その女性に対する迫害が始まった。
人々はフレイを恐れた為、その恐怖をただただ女性にぶつけた。

フレイの、知らない所で。

"化け物の女" "人間じゃない" "気味が悪い" 等…
当初はその様な悪言だけだったものの、次第に迫害は悪化していった。
女性への暴行が始まった。
女性は毎日、傷と痣を増やした。
脅迫も行われるようになった。
───凌辱さえも。

日々作ってくる傷と痛みを、女性は必死に、フレイから隠した。
フレイはそんな女性に違和感を覚え、ある日密かに女性居る教会を覗いた。
───そこにあったのは、人々による女性への迫害。
悪言、暴行、脅迫、凌辱───



フレイの中で、何かが音を立てて崩れた。

シェア&お気に入りしよう!

この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

よろしくお願いします