出会いは突然で
あの時は雨だったかな
傘、さしてくれた…君
「ほら、俺はこいつの入るから」
『いいんですか?』
「ん、」
『ありがとうございます!!』
あのトキメキは、
今でも忘れられない
だけど、それが
数週間後にはイラつきに変わっている
『もう、静かにしてください!』
「ちょっと無理かな〜」
私の秘密を知ってから
すごく、うるさい
櫻井先輩
その秘密とは
私のことが好き
と
噂されている、阿山 悠人
という、人だ
「最近、悠人くんとはどうなんすか?」
『ち、違います!! あの人はどうでもいいんですー!』
「ほんとにー?」
『関係ないですから、中学が同じってだけで…』
「ふ~ん」
顔がずっとニヤついてるのがムカつく!!
『なら、櫻井先輩はどうなんですか??』
「え?」
『好きな人いないんですか?』
「いるわけないだろ〜」
ちょっと照れくさそうにしたのは
なんでだろう
ちょっと胸が痛くなったのは…
どうして?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!