【彼の小話】
俺は大学で教授をしている。
まあ主な活動としては新たな花の生産だ。
今ではすっかり有名なあの
『青いバラ』
も俺達は研究を行って見事に成功した事例もある。
まあ俺の話は置いといてだな。
…え?名前聞いてないって?
…そうだな。まあA氏ということにしておいてくれ。
本題に入るぞ。
花にしか命を注がなかったと言ってもいいような俺が、ある日心霊の分野に足を踏み込むことになる。
きっかけはシンプル。
ただ友人に廃墟へ行こうと誘われた。
それだけ。
だが、素直に納得した訳では無い。
実はその廃墟へ行った者は必ず殺されるという。
ただ奇妙なことに、発見される死体には必ず
『赤い薔薇』
が添えられているという。
しかもその薔薇は、世界中を回っても見ることが出来ないほどに鮮やかで、花びらの内側が黒いという。
殺されるという噂には流石にビビりはしたものの、やはりそのような興味深い薔薇を、この目で見ないわけには行かなくなった。
自分の命を失ってでも、その花を見て死ねるのなら、どんだけ幸せなことかと思った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。