【黒髪の館>>2】
俺は小さく
「失礼します…」
と言って入った。
だが友人の姿が無いため、思い切って呼んでみる。
「おーい。入ったぞー。どこにいるんだー。」
返事が無い。
一体どこへ行ったんだまったく。
俺は友人を捜しながらも、
この館内を少し探索することにした。
しかし、廃墟というのはこう…
木の板があちこちに落ちていたり死体とか骸骨とかがあってもおかしくないイメージだったが、ここはそんなものが全くない。
やはり誰かが住んでいるのだろうか…?
まあ、探索を始めよう。
いきなり上へ行く勇気はないのでまずは1階から攻めていこう。
真ん中のフロアには古びた黒い机と椅子が一つずつ置いてあった。
一階には全部で4つの部屋がある。
①トイレ
②浴室らしき部屋
③埃と散らかった綿や羽が舞う寝室らしき部屋
④調理場らしき部屋
ざっとまあ、こうなっていた。
四つめの部屋は何やら特に不気味だった。
豚や鶏などの動物の肉が、そのままの姿で皮がもぎ取られ、肉が切断され、骨を引き裂く途中の状態の物が置いてあった。
朝から何も食べていないせいか、吐き気がした。
気味が悪いので早く友人を見つけて帰ろうとした。
このとき、友人を置いて一人で逃げようとは思わなかった。
何故か足が勝手に動き、二階へと続く階段へ急がせる。
そうまるで、スキップをするかのようなリズムで。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。