【先程の黒い髪の毛、知りませんか。】
「迷っているところ申し訳ないが、答えは一つだ。」
俺は彼女のことを愛していた。
だから病院で変わり果てた彼女を見た時はもう
涙しか出ないくらいに放心状態で
ただただ自分を責めることしか出来なかった。
そして自殺未遂までした。
そうだ。
俺は今病院で眠っているはずだ。
これはきっと、俺の夢だ。
彼女が亡くなったことは悲しく、虚しい。
だがあいにく、幽霊の彼女(架空のもの)に命を捧げられるほど広い心は持ち合わせていない。
でも友人までもを失う訳にはいかない。
彼女を守ることが出来なかった。
だからせめて友人だけでも救いたい。
大切な人をもう、失う訳にはいかない。
今度は自分の手で___。
自分は現実に戻り、友人の命も救う方法。
そう、答えは一つ。
するとさっきまでは無かった三つ目の部屋が現れた。
『青い薔薇の部屋』
ドアノブに紐で吊るされてある木製のプレートに、黒い文字でそう掘ってあった。
迷わず俺は飛び入る。
【作者から】
こちらを読まれた方は次話のチャプターに
🌝スイーツ-絶望-
と表示される方をお読みください。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。