【青い薔薇>>1】
『青い薔薇の部屋』
この部屋には真ん中に青い薔薇が飾ってあった。
青い薔薇の花言葉は
"不可能"
俺が彼女に出した答えだ。
自分の鎖骨あたりまでの高さの台の上に、
ガラスの箱に囚われた青い薔薇がある。
俺はそっと、それを撫でるように手をかざす。
するとガラスの箱は台の中に消え、
俺はそっと青い薔薇を掴む。
…なんと美しい。
少し薄紫の様な花びらに、くっきりと青々とした茎、しっかりとした棘。
花びら一つ一つがしっかりと存在を示していた。
これさえあれば___。
俺は両手でそれを大事に抱え、部屋を出る。
だがひと足遅かったようだ。
俺の行動に感づいた彼女は、
友人を人質として拳銃の先を向けている。
しかもさっきあったあのダイニングルームはそこにはなかった。
あったのは暗闇に包まれた部屋に1本の赤い薔薇と青い薔薇だけが光り、境界線が作られた部屋だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。