第10話

別れ
4,336
2018/01/02 03:34
あの事があってから、

王様は私に性欲処理を求めなくなった。

というか、

会わなくなったと言うのが妥当だろう。


私は、王様の用意してくれた部屋で

一人ベットの上に座って、

そこら辺にある雑誌を手に取り読んでいた。






ジョングク
何やってんの、こんなとこで

慣れ親しんだ声に驚き、

はっと顔をあげると、

そこにはグクがいた。
ジョングク
俺、今日でここ出るんだ。

そっか。

王様は私を使わなくなったから、

グクもここにいる意味が無くなったんだな。


ちょうどいい。

これで完全に終われる。
ジョングク
だから、お別れ言いに来た。

“お別れ”という言葉に、

少し胸がキュッとなったのは気のせい。
あなた

そっか。
良かったね、出れて。

ジョングク
うん。
ジョングク
あのさ、
別れを告げるなら、

早く言ってほしい。

何で長くするのかな。
ジョングク
ありがとう。

話がだらだらと長引くのを予想していた私は、

意外な言葉に驚いた。
ジョングク
この前はごめん。
ジョングク
俺知ってた。お前が犯されてるの。
お前の喘ぎ声、めっちゃ聞こえた。
ただ唖然とするばかり
ジョングク
俺のためにしてくれてた事も
全部全部知ってた。
ジョングク
なのにあの時は、
俺の感情が先に出てきて、ごめん。

グクが全て知っていた事に気付かず、

“知られたくない”ただそれだけの感情で

グクを傷つけていた。
ジョングク
あなたはもう、
俺の事嫌いだろ…でも、

耳を塞ぎたくなる。

この後に続く言葉なんか予想がつく。

聞いてしまったら私は、

自分の感情が分からなくなってしまう。



誰を愛しているのか。

誰を思っているのか。
ジョングク
俺はあなたが好きだ。
ジョングク
お前が俺を嫌いでも、
俺はお前が好き。

そう告げるとグクは

“じゃあね。またどこかで”

と言って、私の部屋を後にした。

プリ小説オーディオドラマ