第17話

潤い
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2018/01/12 11:29
実の兄…?

この人が…?

信じられないまま、どんどん話が進んでいく。
ジミン
僕はもともと王室にいて、
幼い頃は次期国王として
大事に育てられてきた。
ジミン
でも、あいつが産まれてから、
全てが変わった。
勉強も運動も何でも出来て、
おまけに超イケメン。
女子ウケも良くてモテる。
ジミン
父さんは俺を見捨て、
名字までも変えて、
金だけ送ってきて、
父親としての役目は
一応ちゃんと果たしている。
ジミン
僕はそんな
キムテヒョンに全てを奪われた男。

キムテヒョン。

彼の過去にはそんな事があったなんて、

私は全く知らなかった。

いや、知ることも無かった。

パクジミンに会うまでは。
あなた

テヒョンの事は
嫌いなんですか…?

ジミン
嫌いじゃなくて憎いってとこ。
あと、何でテヒョンって
名前で呼び捨てなの?
もしかして、知り合い…?

やばい。

少なからずそう思った。

こんなに後ろめたい気持ちだったなんて…
あなた

はい…

ジミン
そう。
どういう関係?
あなた

いや、それはっ…

ジミン
好きだった?

私の言葉を遮って言った、

ジミンさんの言葉は、

聞こえてくるのと同時に、

嫌な記憶がよみがえってくる。

思い出したくない記憶。




私が何も言わないでいると、

いつの間にかジミンさんは

私の側にいて、

顔を覗き込んできた。
ジミン
棄てられたの?




あの時の記憶。



出ていってと言われたあの時。


大好きだと言ったあの時。


結ばれなかったその思いに、


絶望に堕ちたあの時。







ジミン
辛かったね


涙も出なくなった枯れた心に、

潤いを与えてくるその言葉。


それは止まることを知らずに、

思いのまま、流れ出す。


ジミン
もう、僕にしなよ…
ジミン
初めて見た時、君に惚れた。



私は弱い人間なのだろう。


彼に抱きついた。

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