プリ小説

第2話

少女の夢
私はずっと憧れてるの。女優に。
まだ幼いけれどいつかはなりたいの。
でも、きっと無理。
私には足りないものがあるから。
魔力。
この世界では持っていて当たり前な物を私は持っていないんだ。
だから魔法で演技を上達させることも出来ないし、セリフを覚える魔法もない。私のママは一流の魔女なのに。
ママの名を汚してしまうから、私が邪魔になってママはどこかに行ってしまったの。私なんかいなかったことにして。
私に残された唯一の魔力の欠片は、心臓に埋め込まれた呪いの宝石。
きらきら光るんだって。
どこでいつ入っちゃったんだろう。
でも、そんなの役に立たないから。
同じように女優を目指している女の子たちにいつもからかわれる。
私には女優なんて無理なんだ。
だからね。
ほんとの私は誰にも見せないの。
ほんとの私みたいな演技をするの。
誰も私の演技に気が付かないように。
気づかれなかったら、それは私の演技が上手いってことでしょ?
それなのに私なんかに声をかけて、傷の手当をしてって言ってきた男の人がいて。
知らない人は入れない方がいいかなって思ったけど、どうせお姉様も何も言わないから、入れちゃった。
久しぶりに男の人が家に上がったらお姉様が喜ぶかもって思ってたけど…。
呪文の練習をしてたみたい。
魔法は使えないけど、手当くらい習ったもん。
慣れた手つきで作業を進める。
箒やステッキを見てたから、きっとこの家の魔女はみんな厳しいんだろうなぁとか感心してるのかな。
私は魔力使えないからね。
ちょっと悲しくなっちゃった。
そうだ、家を出ていく前のママがくれた薔薇の髪留めを見せちゃえ。可愛いんだよ。これ。
俯いて手当をしながら、ちょっと見せびらかす。可愛いって言ってくれないかな…。どう?ねぇねぇ。可愛くない?
でも、そう思っているうちに手当はもう済んじゃった。
男の人は立ち上がってお礼を言って帰ってしまった。
でも、「またいつか」って言ってて……また会えるってことなのかな。
でも、そんなの信用しちゃいけない。
あの人のこと、何も知らないんだし。
人のことなんて、信じちゃいけないし。

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こまいぬ
こまいぬ
僕はたまに歌を書いたりポエムを書き留めたりお話を書いたりします
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