第3話

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2017/12/20 14:37
自分が同性愛者であることに気がついたのは、中学生の頃のことだった。

性に対して興味が湧いてくる年頃であるにも関わらず、女性をそういう目で見ることは出来なかった。

友人の勧める“本”を読んでも“ビデオ”を見ても、僕の目に付くのは男性ばかり。

自分はどこかおかしいんじゃないだろうかと思い悩んだ時期もあった。
しかし、この広い世界の中では別段 おかしなことではないと知った時には ひどく安心したのを今でも覚えている。


「っ…ん、…ぁ…あ」


それが、後輩をオカズにこんなことをするまでになってしまって。


「…はぁ、な…七世…っ…」


ベンチにジャージを置き、そこに顔を寄せながら 僕は冷えた床に膝をついた。

お尻を突き出すような体勢で 性器を擦れば、“誰かに見られたらどうしよう”という気持ちがよりいっそう僕を興奮させる。


「あっ…も、…やば……ぁ、ッ…でる」


羞恥心と罪悪感に苛まれながら迎える絶頂は、正直 何にも変えられない。

家でする時とは違った快感は、鳥肌が立つほどだ。


「ッ…ぁ、ん…な、なせ…っ…七世!」


夢中になってその名前を呼び、頂上までの階段を駆け登っていく。



…あと少し。



そう思った時のことだった。




「呼びました?先輩」


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