「あ、そのつもりだよ?」
え?
「これ、10万したんだよね~」
じゅ、じゅうまん…?
「高かったよね!防水機能あるから今日持ってきたけど岩場に叩きつけられて落ちたからね…」
何を考えてるのか分からない人がそう言った
「す、すいません、必ずお返しします」
海の家のバイトなんて儲からないのに…
どうしよう。
「あー、いーよ。」
へ?
「海の家で稼げる額なんかたかが知れてるし嫌な言い方したら10万くらいすぐ稼げるし」
先ほどと全く様子の違う唇さん。
「え、でも…」
「俺らが弁償してもらうのはカメラじゃないよ?」
カメラじゃない?
「俺らは楽しく海で遊んでたのにあーゆー場に居合わせちゃってさらにカメラも失ったの」
「だから少しの間、仕事できないじゃん?」
「え、お仕事って…」
カメラマンさんとかなのかなぁ…
「Youtuberだけど?」
ゆーちゅーば?
「楽器を演奏してるんですか…?」
元吹部なのでチューバのことしか頭に浮かばない。
「…、YouTube知らないの?」
唇さんは少し驚いていた
「ゆーちゅーぶ…あ、動画の…」
「そーそー!俺らそこに動画出してるの!」
一際大きな人がそういう。
「カメラないと動画取れないしさ俺も殴られたりしたわけじゃん?俺らの心癒してよ」
え、癒す…?なにいってんの?
「ま、とりあえず連絡先教えて。教えないと器物破損で訴える」
「ど、どうぞ…」
携帯を差し出した。
こわいよ…
「俺らの動画みたら連絡して、Fischer'sってうてばでるよ」
フィッシャーズかぁ
聞いたことないけど帰ったら見てみよう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。