第18話

🦇
333
2018/01/03 00:28
月の光に照らされた夜道を俺は1人歩く。


今日であなたがいなくなってから3年…


帰ってくるとか言ってたのに帰ってこないし…


さみしい気持ちが今でも襲う。












あなたがいなくなってから変わったこと。


俺に彼女が出来たこと。


それと…


関係ないだろうけど、近くの古びたお屋敷から、よく子供の泣き声がする。


誰もいないはずなのに不気味だな…











そんなことを考えながら歩いていると、例のお屋敷の近くまで来ていた。


家に帰るためにはその前を通らないといけない。


彼女と一緒に過ごしていたからこんなに遅くなってしまった。


男の俺でも、夜にここを通るのは気がひける。


《 ここは出るよ 》


そう言われ続けてるから…












意を決し、足早にそこを通り過ぎようとした…


そんな時だった。
???
ゔぁ〜〜
何かが俺の足に噛み付いて来た。


逃げようとしたが、恐怖のあまり体が動かない。
???
それは男だから食べられないのよ?
突然だった。


その女の声が聞こえたのは…
良樹
…え…?
???
痛い思いをさせてごめんなさい
その声は、俺が何度も聞いた声。


3年もの間、ずっと聞きたかった声…
良樹
あなたっ…
あなた

良樹…

しばらく見ないうちに、彼女は変わっていた。


暖かさであふれていたあの顔は、青白く。


そして、生気を失っているようだった。


ただ、あの美しさだけは面影がある。
良樹
会いたかったよ…
彼女は何も言わず、幼い子供を抱いていた。
良樹
その子は…?
あなた

私の子…

良樹
結婚…したんだ
あなた

うん…まぁね

彼女は少し困ったような嬉しそうな顔をした。
良樹
でも…幸せなんだよな?
あなた

うん…!

一瞬だったけど、あの時の笑顔が垣間見えた気がした。
あなた

ここは危ないから早く帰って…

そう言った彼女は寂しそうに笑った。


俺は、そんな彼女を何を考えるよりも早く抱きしめた。


久しぶりに触れた彼女の肌は氷のように冷たい。
良樹
元気でな…
この時悟っていたのだろう。


もう二度とあなたと会えないことを…
あなた

良樹も…

俺は家に向かって歩き出す。


2、3歩歩いて振り返ると…






もう、そこにあなた達はいなかった。


頭上にはコウモリが群れをなして飛んでいる。






寂しさと怖さが入り混じった気持ちのまま、俺は家に帰る。


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