入学式から休日を挟んでの月曜日。
今日からの本格的な学校生活に心を踊らせる半面で、初っ端から挨拶目立ってしまった事を心配していた。
母は俺が挨拶をしたことに喜んでいた。
小さい頃聞いた話だが、父も母も以前は人間だったらしい。
きっと懐かしくなったのだろう。
学校に着き、靴を履き変えた頃から席に着いて座った今まで、なぜかたくさんの視線を感じる。
やはり目立ってしまったのが大きいのか…
あの挨拶がそんなにおかしかったのか。
やはり気になる。
これからはあまり目立たないようにしなきゃ…
急に話しかけてくるその声。
気さくで明るい声だった。
正直、とても驚いた。
今まで大抵の人が、俺の誰も近づけないようにしているのを読み取ってか、話しかけてこなかったからだ。
そう言うと彼は満面の笑みでピースをした。
こいつには人が寄ってくるな。
少し羨ましくも思った。
昼休みまでの4時間、やはり俺は視線を集めているようでならなかった。
今日一応パン持って来といて良かった…
てか、マジか。
こいつガーリックライス食べてやがる…
ニンニクの匂いを気にしながらも、ご飯を食べる。
こいつ…笑
何が言いたいんだ。
あぁー、もう本当にマジか。
中学までみたいに髪長いままにしとけば良かった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。