第2話

私。
29
2017/12/22 08:47
「…私、は…誰?」
ボクと名乗る男はソレを覗きこみ、言った。
「君はキミさ」
「私は、ワタシ?」
「あぁ、そうだ。君はキミ以外のなんでもないさ」
「そうなんだ」
ボクはまたもあたりまえのことを言う。だが、ワタシにはそれは初めての言葉だった。ワタシは自分が私であるということを知らなかった。
「ワタシはなにがしたいんだろう」
「わからないのかい?」
「えぇ、全く」
「じゃあ、ボクの話しを聞いてくれないか?」
「嫌だという資格は、ワタシにあるの?」
「あぁ。あるよ。君はここにいるからね」
ワタシは少し考え、頷いた。
「いいのかい? じゃあ、少し」

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