第4話

答え1。
21
2018/01/02 03:03
 「リンゴの問い?」
「あぁ、リンゴの問いさ」
ワタシは黙ってボクを見つめる。
「ここにひとつのリンゴがあるとして、君はこのリンゴをどうみる?」
ワタシは突然の問いに驚いたが、リンゴという個体に対しての問いに答えられないほどには混乱してはいなかった。
「ワタシには、美味しそうな、熟れたリンゴにみるよ」
「ボクにはね、不味そうな、腐ったリンゴに見えるんだ」
ワタシはただ頷き、ボクを見つめた。
ボクは驚き、ワタシを見つめた。
「馬鹿にしないのかい?」
「ワタシにはどう馬鹿にしたらいいのかわからない」
「ボクが出会った人はボクを馬鹿にしたから」
「なら、その人達は可哀想」
「どうしてだい?」
「ボクが多くの考えを持っているということに気付けないまま、去って行くから」
「……」
「ワタシはボクの話しを最後まで聞きたい」
「あぁ、喜んで話そう」

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