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第1話

106
2017/12/22 10:32
4月。

入学式。

わたしは、何組になったのかな。

1組から順に名前をおっていく。



2組の、ある男子の名前で
ふっと、胸が高鳴った。

何故だろう。

どこにでもあるような平凡な名前。

た、む、ら、こ、う、す、け。


なぜだろ。

なんだか、気になる。
入学式、一人一人が名前をよばれ、

返事をして立ち上がる。

2組のたむらこーすけが

呼ばれる瞬間を

心待ちにしている自分がいた。

なぜか、ひっかかる。

なぜだろう。


田村 宏介


名前が呼ばれたが、


返事はない。


かわりに、担任であろう男教師の声が響く。

『欠席です。』

そうだ。

きっと、あのとき、

わたしはもう、

何かを予感していた。

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