プリ小説

第2話

遺念体と静香
静香
静香
…藍紗、星輝居るよね?
藍紗
藍紗
うん
星輝
星輝
おうよ
静香
静香
…さっきも言った通りここから先は普通にた開拓者達の魂-遺念体がそこら辺に居るから、それぞれ名前で呼ぶこと。
………まぁ私以外、多分同じ名前の開拓者が出ることなんてほとんどないと思うけど
藍紗
藍紗
じゃあしーちゃんって呼んだら静香はなんとかなるよね!
星輝
星輝
おっ、いいなぁしーちゃんって!
やれやれ、と緊張感のない2人を見て静香は少し微笑む。
『奴』が来たら-私はまずアレをする。
アレをすることによって奴は弱体化-追いかけるスピードはかなり遅くなるはず。そうなると、高校生の私達の脚力には余裕でついていけなくなるはず。
静香
静香
………2人とも、アレを見て
静香が指した方向には開拓者達と思わしき人物がいた。
星輝
星輝
…あれと会話をせんかったらええねんな?
静香
静香
そういうこと。
………!
2人とも逃げて!!
静香だけ気が付いたのは、遠くからあの怪物が来ている足音、そしてその振動。
星輝は静香の指示に従い藍紗の手を引いて更に奥へとその姿を消した。
この時星輝には絶対的な確信があった。
-静香なら、あの眼をした静香なら絶対に追いついてくれると。
静香の眼は、決意が込められていた。
やがて、怪物がやってきた。
怪物
怪物
アア……………アアアアアアアアッ!!!
静香
静香
………来たわね
にぃっと不気味な笑みを浮かべた静香は『希望』を強く持った。その瞬間、怪物の動きが止まった。
怪物
怪物
アアア……………?
…………!
…………………コノ光……………………希望………………ハ……
静香
静香
羨ましいでしょう?
生者だけが持てる希望。
死して尚こうして現世を彷徨う君達に、果たしてこれをつかむことの出来る日は来るのかしら!?
そう言って、持ち歩いているよく研磨されたポケットナイフで怪物の一部分を切り裂く。
希望を手にした彼女の一閃はとても強い白い光を纏っていた。
怪物
怪物
アッ………アアアアアアアアアッ!?
アアアッ………痛イ………………焼ケル………ッ
斬られた跡は、たしかに煙を出していた。
だが静香はナイフを持った左手を止めない。
静香
静香
ポケットナイフでも………技は出せる!
【奥義】-『月華麗夜』!
怪物
怪物
………クッ……!?
グアアッ……………ッ…………………貴様……何奴…?
体が少し消滅しかけている怪物は静香にそう聞いた。
静香
静香
私は猫かぶりが大得意な少女とでもいえばいいかしら?
…梢野静香。それが私よ、『子供達』
怪物
怪物
梢野…………!?ソレニアノ技カラシテコノヒト……!
………御無礼………カケタ…?
……………許シ……許シテモラオウ!
静香
静香
梢野って苗字……あなた達の時代じゃ歴史の教科書には載らずとも結構偉い人が居たって感じなのかしら…
怪物-子供達の思念は少しずつそれぞれ自我を取り戻し始めたらしい。ひとつの塊から違う声がたくさん聞こえてくる。
そして、それはたったひとつの声になった。
怪物
怪物
静香様………先程のご無礼をお許しください…
静香
静香
あ、カタコトじゃなくなった…って別に私はお偉いさんじゃないわ。でも、謝るんだったら今まで殺してきた人達の魂に、だね
怪物
怪物
…………………。
……その、静香様。
実は僕達のような思念の塊は、あと3個程あるんだ…。
2個は僕達が散らばって、説得してみせるから静香様は残りの1個を僕達のようにしてあげて!!
あの人達は………もう自分が何だったかさえ覚えていないんだ!!
それにあの塊の中には僕のお兄ちゃんがいるんだ!
……僕はどんな形になろうと、お兄ちゃんにもう一度会いたい…だから静香様、その塊をどうかこの呪われた森の呪縛から解放してあげて!
静香
静香
えーとぉ………
話を整理しよう。
まずこの塊の中から聞こえてくる少年には兄がいる。
そしてその兄はというと自我を完全に失い自分がなんだったかさえわからない状態である。
ちなみにその兄も彼のように思念の塊の一部となった。
私はその塊を解放してあげればいい。
………のだが、この森が呪われているということは知らなかったし、予想外だった。いや、死んでいる時点でおかしいなとは思っていたのだが。
静香
静香
………森が呪われている?
怪物
怪物
うん。
静香様も、そのお連れ様もあまり長居するとこの森に生命力を奪われて最終的に僕達のようになる。
そしてこの森のその呪力はどんどん高まっていってるんだ。今はもう、この森の入口付近までその呪いが広がっちゃってるんだ!
僕達はもう、僕達のようになりゆく人を見たくない!
静香様がそうなってしまうなんて………嫌です!
だから僕達は全力で貴方様を手助けします!
だから………………静香様と今生き残っているお連れ様だけでも、この森から生きて帰して見せます!
少年の強い意志に、静香はくすっ、とひと笑いする。
別におかしかったからじゃない。
ただ、ついさっきまで自我を失い自分を襲っていたモノとは思えないぐらいいい子だなと思ったのだ。
静香
静香
…わかった。君の意志は伝わったよ。
その意志を遺志にしないようにしてみせる。
私、皆のお姉ちゃんとして頑張って皆と協力して全ての思念を解放してみせるよ
だから、と続ける。
静香
静香
それまでは私-ううん、私達、死なないよ!
そう言うと、思念の塊は少しその黒さを薄めた。相槌を打ったのだろう。そして、少年に「早くお連れ様のところへ行ってあげて。今、開拓者の人に囲まれて困ってるはずだから。それと……」と、白い刀を渡された。鞘から刀身を抜くと、刀身はよく研がれていた。
怪物
怪物
梢野氏が使っていました。
神刀『陽光』……静香様に。
これなら、開拓者さんの魂も問題なく絶つことが出来ると思います
静香
静香
…ありがとう。
じゃ、お言葉通り行ってくる!
そう言って、2人が行った方向へ静香は走り去った。
自我を取り戻した思念の塊はその姿をただ見ていた。

シェア&お気に入りしよう!

この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

冬聖
冬聖
これからかなり低浮上気味になるかと思われます、筆の遅いファンタジー系小説ばっか書くノゲノラ、東方、ボカロ大好きな人です。 プリ画像でも同じ名前でそこら辺に居るのですが、最近は全く浮上しておりません。←