『え… ??』
あまりのことに最初は頭が取り残されてついていけなかった、
先生に連れられるがまま タクシーに乗って 病院にむかった、
お父さんは小学5年生の時に癌になった。
私には小学6年生になってから伝えられた 、
でも なおるって… なおるって言ってたんだ、 お父さんは絶対なおすよって 、 昨日の入学式には車椅子だったけど元気にきてたのに…
病院に向かう最中でずっとずっと考えて
気づいたら 涙が止まらなかった、
人の死を身近に感じ始めた体は震え
お父さんがいなくなることを想像した。
ただいま って帰ってきてももう お父さんからのおかえりはないんだ。
家族3人そろっていただきます。
もごちそうさまでした。も、 もう言えないんだ、
走馬灯のように 思い出が瞼の裏に目まぐるしく 流れる。
タクシーが止まった。
『ここから先は藤田さん 部屋までいけるね ??』
部屋は知っていた、 頻繁にお見舞いには来ていたから 小学6年生の後半 入院した
でも あれはもうすぐなおるからって 、、 最後に 長い検査があるだけだよって…、、
『は …ぃ… 』
声が震えてしまってまともに返事ができず
心配をかけないように先生とタクシーに背を向け病室にむかった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。